今日の雑学
重さを測るための道具である「天秤(てんびん)」は、人間が作り出した最初の「しくみのある計器」といわれる。文明の発達には重さの計測が不可欠だからだろう。棒の一方に ▼ 計量物を、他方に分銅を載せ、釣り合ったときの分銅の位置や重さでモノの重さを計る仕掛けである。こうした天秤、バネばかりの歴史は長いが、近年は電子はかりが急速に普及している。体重計はもちろん、調理用でも電子式がよく使われている。コンパクトで測りやすいのが人気で、しかも安価である。いったいどのようなしくみなのだろうか。電子はかりの心臓部となるセンサー部分は、「電磁式」と「ロードセル式」と呼ばれる二つの方式が主流である。電磁式とは、天秤の片方に置く分銅を磁石に置き換えた方式だ。電磁石となるコイルの電流を調整し、天秤が釣り合ったときの電流量で重さを計る。ロードセル式は「歪(ひず)みセンサー」を利用するのが一般的である。物体は重みを感じたときに歪むが、その歪みによって測定しているのだ。センサーの素子には、歪みを検知すると抵抗値を変化させる半導体が利用される。この性質はピエゾ抵抗効果と呼ばれ、抵抗値の変化を測定することで重さが正確に測定できるのである。ロードセル方式の登場は、電子はかりの価格を大きく下げることになった。構造が単純だからである。例として、体重計を見てみよう。体重計の足のせ用蓋を取ると、ロードセルが四隅(よすみ)に配置されているだけの単純な構造であることがわかる。体重がかかると4か所の重さが測定され、それらの和(わ)が体重になる。四隅に置くことで、足のせ用蓋のどこに人が載っても正しく測定できるわけだ。ちなみに、薬局で利用される精密な電子はかりの多くは音叉(おんさ)センサーが採用されている。丈夫で正確という優れたセンサーである。その精密性ゆえに、ハワイにあるすばる望遠鏡の制御(せいぎょ)にも利用されている。レンズ位置の正確な測定ができるからだ。
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