今日の雑学
2004年、「水で焼く」という刺激的なキャッチフレーズの新方式オーブンレンジがシャープから発売された。商品名は「ヘルシオ」。100度を超える水蒸気で調理するオー ▼ ブンレンジで、脱油、減塩(げんえん)というヘルシー効果をうたった。ヘルシオの人気に火がつくと、他社からも類似の製品が発売され、後に一般名称としてスチームオーブンレンジという名がつけられた。調理で用いる100度を超える水蒸気は過熱水蒸気と呼ばれる。加熱水蒸気を用いる料理法は業務用としては以前からあったが、家庭用オーブンで実現するには、ワット数や装置の小型化、安全面などで大きな障害があった。ようやく最近になって、一般家庭にも普及したのだ。「水で焼く」というしくみは、なかなか理解しにくいものである。「水は濡れるもの」というイメージが先行するからだ。しかし、それはあくまで100度以下の世界の話。100度を超えれば、水は水蒸気となり、いくらでも高温になる。この高温の水蒸気で調理するのがスチームオーブンレンジなのである。なぜ、水蒸気で温めると効率よく加熱できるのだろうか。その秘密は、水蒸気が水になるときに発生する「凝縮(ぎょうしゅく)熱」にある。普通のオーブンのように空気から熱を伝えるのに比べると、凝縮熱は8倍ほども大きいのだ。そのため、急速に温度を上げることができ、素材を傷めることなく調理できる。また、温度が低い部分で水蒸気は凝縮しやすいので、加熱ムラも減る。さらに、過熱水蒸気は庫内の空気を追い出し、酸素の量を通常の0・5%以下にしてくれる。おかげでビタミンなど、酸素に弱い栄養の変質が抑えられる。この方式の調理にはさらなるヘルシー効果がともなう。過熱水蒸気の強力な加熱が、食品内部の脂(あぶら)や塩分を溶か出してくれるのだ。ダイエットや高血圧を意識している人にはありがたい特徴だ。
雑学事典一覧
雑学週間ランキング
先週(月~金)のランキング