今日の雑学
「音で物を見る」方法は、生物の世界でよく利用されている。例えば、イルカやコウモリが獲物を探す際、超音波(周波数の大きな音波)を発することはよく知られている。その ▼ 反射波で、獲物の位置を確認するためだ。この「音で物を見る」方法を利用した医療検査がある。エコー検査である。超音波を発し、その反射波からガンやポリープ、結石(けっせき)などの異物を探る検査である。また、妊婦(にんぷ)のお腹(なか)にいる胎児(たいじ)の健康状態を観察するのにも利用されている。生まれる前に男女がわかるのも、音でペニスが見分けられるからだ。エコー検査の超音波は、プローブと呼ばれる超音波発生装置から出される。プローブは受信装置を兼ねていて、自ら発した音の反射波を受信する。その受信波をコンピューターが解かい析せきし、映像化する。こうして、リアルタイムに結石やガンのしこりが見られるのだ。超音波の発信と受信を受け持つ素子は圧あつ電でん素そ子しという。電気を与えると振動し、逆に振動を加えると電気が生じる性質を持つ物質でできた素子だ。この特性を利用すれば、同じ素子が超音波を発信することも受信することもできる。この圧電素子として代表的なものが、クォーツ時計に利用されている水晶である。エコー検査のプローブでは、圧電効果が高いPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)と呼ばれる圧電素子が使用されるのが一般的だ。体内を見るならば、X線を用いた検査装置のほうが解像度が高い。では、なぜ「音で見る」方法が人気なのだろう。それは、超音波が無害だからだ。「音で物を見る」という発想は、医療以外の分野でも利用されている。その代表例が、船から出される超音波の反射波で魚の群れを探知する魚ぎょ群ぐん探知機だ。超音波が魚群の出す泡に対してよく反射するという性質を利用している。また、トンネルのコンクリートの内部に亀き裂れつがあるかどうかも、音波を当ててその反射波で判断できる。最近マスコミで話題のメタンハイドレートの存在も、同じ原理で確認できるのだ。
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